役員報酬の決め方

役員報酬の金額をどうするかといっても、会社の経営方針や、社長の年齢などによって考え方は様々です。

ここでは、当事務所のメインのお客様である、小規模企業を前提に書いていきます。

役員報酬をいくらにするかは、役員報酬を0とした場合の会社の利益を基本に考えます。

例えば、役員報酬を0とした場合に会社の利益が1,000万円だとします。

この場合に、1,000円のうち、700万円を役員報酬として個人でもらって
300万円は会社の利益として残したとします。

結果として、300万円の利益から75万円の税金を支払って225万円が会社に残るというようになります。

役員報酬を決めるということは、役員報酬を除いた利益を、会社に残すのか、
役員報酬として個人でもらうのか、の配分を決めることなのです。

会社の方向性はどうか

お金(利益)を会社に残すのか、個人でもらうのかは、会社をどうしていきたいかによります。

会社を大きくしていきたい、そのために金融機関から融資を受けたいという場合は、
会社に利益を残した方がいいでしょう。

会社に利益を残すことによって、税金を支払った後のお金が会社に残ります。

また、金融機関からの借入もしやすくなります。

大手の取引先との取引も出来るようになるかもしれません。

その場合は、役員報酬は社長の生活に必要な分だけにおさえるという考え方もできます。

税金のことも考えて、個人の所得税の税率が○○%でおさまるようにということでもいいでしょう。

会社を大きくするつもりがないなら個人でもらってもいい

会社を大きくするつもりがない、借入もそんなに多くはしないというのであれば、
会社にお金を残す重要性は低くなります。

万が一、会社が資金繰りに困ったときは、社長個人が会社にお金を貸すことで対応できるからです。

法人の所得が800万円以下の場合の税率が25%程度なので、あまり役員報酬を高くすると、
所得税の税率の方が高くなりますが、会社のお金は個人のプライベートなことには使えません。

個人でお金を自由に使えるメリットを優先させることになります。

退職金をどう準備するか

会社と個人事業の違いとして、会社だと退職金をもらうことができます。

退職金は、税制上かなり優遇されていますので、会社をやっているのであればもらいたいものです。

もし、会社に利益を残さずに全部役員報酬としてもらってしまうと、いつまでたっても会社にお金は残りません。

会社にお金がなければ、退職金を払うこともできません。

少なくても退職金をもらう10年前、できれば、20年くらい前から、
退職金の原資をどう準備するかを考えておきましょう。

会社の利益から税金を支払った残りを貯めていくのであれば、
その分を考慮して役員報酬の額を決めなくてはいけません。

その他に、退職金の原資を貯める方法としては、
経営セーフティ共済の解約金や、保険を使うという方法もあります。

もらいたい退職金の額が決まっていれば、具体的にどの方法でいくら貯めればいいということがわかります。

自然と、役員報酬としてもらえる金額の上殿も決まってきます。

結論

税金を安くすることだけ考えるのであれば、
所得税と法人税の税率や、所得控除の額などを考慮して役員報酬を決めればいいということになります。

しかし、その前に、会社の経営方針がどうなのかということが大切です。

会社の経営方針で、会社にお金を残すことを優先させるのであれば、役員報酬は抑えざるを得ません。

そして、将来の退職金のことも考慮しましょう。

結局、役員報酬を決めることは、役員報酬を除いた利益をどのように使うかを決めることと言えます。

どのくらい、役員報酬に振り分けるのか。

将来の退職金として、どのくらい会社に積み立てておけばいいのか。

その他に、経営セーフティ共済や、保険をどうやって使うのか。

これらのことを考慮するには、安定して会社が利益を出し続ける必要があります。

役員報酬を決めるということだけとっても、簡単ではないということがお分かりいただけたと思います。

ただ、もらいたいだけもらえばいいといか、必要な額だけもらえばいいというものではありません。

自分が引退するときのことまで考えて、役員報酬は慎重に決めるようにしましょう。

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