税理士事務所を選ぶには、いくつかのポイントがあります。
その中で、優先順位をつけて選ぶのがいいでしょう。
では、当事務所のメインのお客様である小規模企業の経営者や個人事業主の方を前提として、
ポイントを一つずつ見ていきます。
税理士を選ぶポイント
1. 近くにあること
よほど、こだわりの税理士を選ぶということでなければ、1時間以内で移動できる範囲で選ぶといいでしょう。
会うのは月に1度、あるいは数か月に1度程度ですから、1時間以内くらいであれば、
それほど問題にはなりません。
突然相談したいことが発生したとしても、1時間くらいであれば大丈夫でしょう。
税理士に通常の税務顧問以外にもコンサルティングやその他の業務を依頼するため、
頻繁に顔を合わせる必要がある場合は、30分以内の事務所を選ぶといいでしょう。
また、税理士に会うのは年に一度で十分という方であれば、2時間以内くらいで探すのがいいと思います。
2時間以上の税理士事務所となると、会いたい時になかなか会えないということになりますので、
あまりおすすめはしません。
2. 税理士との相性
税理士との相性も大切です。
契約をするのは税理士事務所としますが、税理士事務所は小規模なところが多いため、
実質的には税理士本人と契約するようなものです。
税理士と話が合わないというようでは、大事な仕事を依頼するわけにはいきません。
ある程度以上の税理士事務所ですと、担当者がつくことになります。
しかし、担当者は変更になることがありますので、
担当者との相性で税理士事務所を決めることはおすすめしません。
税理士とは、税金のことだけ話すわけではありません。
税金以外にも、お金、社会保険、登記、経営、資金繰りなどいろいろなことを話します。
税理士との相性は大切にしましょう。
3. 税理士報酬
税理士の報酬は、安いところから高いところまで様々です。
また、基本的な報酬は低くても、色々とオプション料が発生する場合もあります。
今は、ホームページにおおよその報酬が書いてある税理士事務所が多いので、
気になる税理士事務所がある場合は、ホームページで確認しましょう。
税理士事務所によって、報酬の書き方が様々ですから、
その報酬に何が含まれていて、何が含まれていないかはよく確認するようにしましょう。
話を聞いたときに、それは別料金ですとか、
ホームページには書いてない料金が発生する場合もありますので、気をつけましょう。
税理士の仕事は、税理士によって意外と差があります。
値段も大切ですが、値段を重視し過ぎても、満足のいく仕事をしてもらえないということもあります。
値段と仕事の内容とのバランスを重視しましょう。
4. 税理士事務所の規模
税理士事務所には、当事務所のように1人でやっているところから、
100人を超えるような事務所まで様々な規模の税理士事務所があります。
小規模な税理士事務所には、税理士が担当してくれる、担当が変わらないというようなメリットがあります。
逆に、大規模な税理士事務所では、一人ではなく組織でお客様を見てくれるという安心感があります。
一般的には、事務所のノウハウも大規模事務所の方があると言えると思います。
しかし、大規模な事務所では担当者が税理士でないことも多く、
また、数年ごとに担当者の変更があることも珍しくありません。
また、大規模な税理士事務所の中には、人の入れ替わりが激しく、
ノウハウが豊富にあるとは言えないような税理士事務所もあるかもしれません。
税理士事務所を、人で選ぶなら小規模な税理士事務所、組織としての安心感で選ぶのであれば
大規模な税理士事務所を選べばいいでしょう。
5. 税理士事務所の得意業種
税理士の中には、業種を特化して業務を行っている税理士事務所もあります。
特化とまではいかなくても、特定の業種に偏っていることもあります。
ただし、業種特化型の税理士事務所に頼めばいいかというと、そうとも限りません。
税務申告は、業種によって全く異なるということはないからです。
少なくても、卸売業、小売業、製造業、建設業、飲食店業、理美容業、サービス業、不動産業などの業種では、
特化型事務所を選ばなくても問題はないと思われます。
医業、社会福祉法人、NPO法人などは、比較的業種特化型の税理士事務所を選ぶメリットがあると言えます。
しかし、業種特化型の税理士事務所の中には、一般の税務があまり得意ではないという税理士事務所も
あるかもしれませんので、業種特化型に拘り過ぎるのはやめた方がいいです。
6. ワンストップサービス
ワンストップサービスというのは、税理士だけでなく、司法書士、社会保険労務士、行政書士などが
同一グループ内にいて、一つの窓口で、これらの業務を全部請け負うサービスのことを言います。
一見、良さそうに思えるのですが、いいことばかりではありません。
税金のことは税理士に、登記のことは司法書士に、社会保険のことは社会保険労務士にと、
会社を経営していると、色々な士業に仕事を依頼することがあります。
これらを別々に探すとなると、結構大変です。
ワンストップサービスを行っている税理士事務所では、
司法書士や社会保険労務士を別に探す必要がないので、楽は楽です。
その便利さを優先するのであれば、ワンストップサービスを行っている税理士事務所を選べばいいでしょう。
しかし、ここまでに上げてきたポイントの中でも大切な、その士業の人との相性は選ぶことができません。
それぞれの士業の人との相性を大切にしたいのであれば、別々に選ぶのがいいでしょう。
また、ワンストップサービスを掲げていない税理士事務所でも、
他の士業を紹介してくれる税理士事務所は多いと思いますので、確認してみるといいでしょう。
7. 年齢やITなど
税理士の年齢も、税理選びの一つのポイントです。
40代の経営者であれば、後20年から30年は付き合うことになるかもしれません。
途中で税理士を変えることを前提にするのであれば、それほど気にしなくていいのですが、
最後まで見てもらいたいと思っているのであれば、自分と近い年齢、
あるいはそれ以下の年齢の税理士に依頼するのがいいでしょう。
30代以下の経営者であれば、一人の税理士に最後まで見てもらうと考える必要はないと思いますので、
年齢はそれほど気にしなくてもいいかもしれません。
途中で、変更したいと思ったら、その時に変更すれば問題ないでしょう。
税理士の平均年齢は高いので、ITを積極的に使っている経営者の場合は、
税理士事務所がITをどれくらい取り入れているかの確認はした方がいいでしょう。
連絡方法一つとっても、電話、ファックス、メール、スカイプなど様々です。
IT化の進んでいない税理士事務所もありますので、確認は必要です。
一定以上の年齢の経営者で、昔ながらの顔を合わせたコミュニケーションを大切にしたいと思うならば、
そのような対応を得意としている税理士事務所を探すのがいいでしょう。
大切なことは、自分に合った税理士を探すこと
税理士事務所の選び方のポイントを書いてきました。
自分の希望を全部満たす税理士を探すのは難しいと思うので、
ポイントに優先順位をつけて選ぶようにするといいでしょう。
近くにあることと、相性、この2つは大切な要素だと思いますので、この2つに加えて
自分で重視したいポイントをいくつかプラスして、条件に合う税理士を探しましょう。
自分に合った税理士事務所の探し方
税理士事務所の選び方のポイントがわかったので、次は、具体的な探し方について書きます。
今の時代は、ホームページを持っている税理士事務所が多くありますので、
ホームページから探すのがいいでしょう。
ホームページ以外では、税理士事務所の特徴を知る方法はあまり多くありません。
「地域+税理士」などのキーワードで検索してもいいですし、
「自分が重視するポイント+税理士」というキーワードで検索してもいいでしょう。
気をつけたいのは、検索結果の上位に表示されている税理士事務所が
自分に合った税理士事務所だとは限らないことです。
ホームページの内容をしっかりと確認して判断するようにしましょう。
また、当事務所のように、代表税理士がブログを書いている税理士事務所もあります。
頻繁に更新されているブログでは、ホームページでは得ることができないような情報や、
税理士の人柄が現れていることが多いので、参考になるでしょう。
自分がブログを書いているから言うわけではありませんが、
ホームページだけでは税理士との相性はわからないと思います。
ブログを書いている税理士がいたら、是非、チェックしてみましょう。
税理士の選び方について書いてみました。
税理士とは、長い付き合いになることも多いです。
ここに書いたポイントを参考にして、自分に合った税理士を見つけて頂ければ幸いです。
一度選んだ税理士が自分に合わないと思ったら、思い切って税理士変更を検討してみましょう。
税理士の変更は、それほど珍しいことではありません。
一時的に気まずい思いをしても、長い目で見たら、
自分に合った税理士を探して依頼したほうがメリットは大きいはずです。