法人成りのデメリット

個人事業をしていて、売上が1,000万円を超え、消費税を納めなくてはいけないということになると、
法人成りしたほうがいいのかなと考えるようになります。

法人成りは、節税面や信用面でのメリットもありますが、デメリットもあるので確認しておきましょう。

社会保険に強制加入

個人事業では、社会保険への加入が任意であっても、法人成りをすると、社会保険に強制加入になります。

社会保険とは、厚生年金と健康保険のことで、この2つを合わせた社会保険料の負担は、かなりのものになります。

一人社長で、役員報酬が月50万円の場合の1か月分の保険料は以下の通りです。
(千葉県で、40歳以上、平成29年4月以降の保険料)

厚生年金保険料        会社負担 45,455円 個人負担 45,455円 計 90,910円
健康保険料(介護保険料を含む) 会社負担 28,850円 個人負担 28,850円 計 57,700円

一人社長の場合は、会社負担分も個人負担分も、自分で稼がなくてはいけないという点では、
合わせて個人負担のようなものです。

1か月に、148,610円もの社会保険料を支払うことになります。

1年では、1,783,320円です。

役員報酬の年額600万円に対して、約29.7%もの保険料の負担になります。

額面金額に対して、これだけの負担ですから、
給与所得控除額や所得控除額が控除できる所得税や住民税よりも、かなり負担が大きいです。

あくまでも、会社負担分も個人の負担とした場合の数字ではありますが。

個人事業の場合、所得が600万円程度であれば、
国民年金と国民健康保険で90万円程度で済むのではないでしょうか。
(国民健康保険料は、市町村や被保険者の数によって変わります。)

赤字でもかかる均等割という法人住民税がある

所得税では、赤字の場合は税金がかからないのですが、法人の場合は赤字でも、
最低年7万円の税金が発生します。

税率については、所得が低ければ所得税の方が低いですが、所得が高くなると法人の方が低くなります。

個人事業で、課税される所得金額が695万円以下の場合は、税率は個人でも法人でもそれほど変わりません。

事務負担や、それに伴う費用が増加する

法人の方が、何かと事務負担が増えます。

個人事業では自分でも税務申告をできたとしても、法人になると、自分で税務申告を行うことは難しくなります。

税務申告を税理士に依頼すれば、税理士への報酬が発生します。

税理士への報酬や、その他の事務コストで年50万円以上は負担が増えると考えた方がいいでしょう。

個人事業のときから税理士に報酬を支払っていた場合は、そこまでの負担増にはなりません。

設立登記などの登記費用がかかる

株式会社の場合で、設立費用は25万円~30万円程度かかります。

また、役員変更や本店移転など、登記事項に変更があった場合は、
その都度、登記が必要になり、手間と費用がかかります。

個人と会社のお金は別

個人事業の場合は、事業で稼いだお金をどう使おうが自分の勝手ですが、
法人の場合は、会社のお金をプライベートのために勝手に使うことはできません。

会社のお金と個人のお金は別なのです。

自分で使えるお金は、役員報酬としてもらったお金だけです。

その役員報酬の額も、制限があり、好きな時に好きなだけもらうこともできません。

業績がよくなったから、今月から増やしたいとか、業績が悪くなったから、今月から下げたいとかいうことが、
簡単にはできないのです。

結論

法人化のデメリットを書いてきました。

どうでしょうか、結構色々なデメリットがあるということがわかったと思います。

法人成りをした方がいいかどうかの判断は、色々なことを総合的に判断して決めることになります。

もし、法人にした方がいいのかなと、迷っているようでしたら、会社設立を決める前に、
一度当事務所にご相談ください。

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