売上が1,000万円を超えたら、消費税の課税事業者になる前にやることがある。

売上が1,000万円を超えたら、その翌々期から、消費税を納めることになります。

消費税の納税義務が免除される場合

1. 基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合

法人の場合の基準期間とは、前々事業年度を言います。
(前々事業年度が1年未満の場合は1年分に換算して課税売上高をもとめます。)

個人事業主の場合の基準期間は前々年です。

課税売上高とは、基本的に消費税のかかる売上高のことです。
輸出免税売上がある場合は課税売上高に含めます。

2. 基準期間がない場合(1期目、2期目の場合)

原則として、基準期間がない事業年度については、消費税の納税義務は免除されます。

しかし、法人については、事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上の場合は、
消費税は免除されません。

会社を設立する際は、消費税の納税義務が免除されるように、資本金1,000万円未満での設立をおすすめします。

資本金の額は、事業年度開始の日で判断しますので、1期目の途中で増資をして、
資本金が1,000万円以上になると、2期目の消費税は免除されませんので注意してください。

もう少し、細かい規定もありますが、大まかに言って上記のようになっています。
簡単に言ってしまうと、売上高が1,000万円を超えると、翌々期から消費税を納めるということになるのです。

消費税の計算方法は、原則による方法と簡易課税制度による方法と2つある

原則による方法は、売上にかかる消費税(預かった消費税)から、
仕入れにかかる消費税(支払った消費税)を差し引いて、納付する消費税を計算します。

1,080,000円で仕入れた商品を1,620,000円で売上げた場合は、
売上にかかる消費税120,000円から、仕入れにかかる消費税80,000円を差し引いて
40,000円の消費税を納付します。

簡易課税制度は、売上高のみから消費税を計算する方法です。

事業の種類ごとにみなし仕入れ率というものが決まっていて、売上高にみなし仕入れ率を乗じて、
売上にかかる消費税から差し引く消費税を計算します。

小売業で売上げが2,160,000円だった場合は、
売上にかかる消費税160,000円に小売業のみなし仕入れ率80%を乗じた
128,000円が仕入れにかかる消費税になります。
160,000円から128,000円を差し引いて納付する消費税は32,000円となります。

1年間が終わって消費税を2つの方法で計算してみて有利な方法で計算できればいいのですが、
そういうわけにはいきません。

簡易課税制度で計算する場合には、事前に届出書を提出する必要があるのです。

事前にというのがポイントです。
簡易課税制度で計算しようとする事業年度の開始の日の前日までに届出書を提出しなければいけません。

平成29年1月1日から始まる事業年度から簡易課税制度を適用したいのであれば、
平成28年12月31日までに届出書を提出しなければいけないのです。

毎年同じような売上が計上されて、毎年同じような仕入れが計上される場合はいいのですが、
そうでない場合は予測が難しいことも多いです。
しかも、一度簡易課税制度を適用した場合は、2期連続で簡易課税制度を適用しなければいけません。

簡易課税制度を適用するのは、明らかに簡易課税制度の方が有利で、しかもそれが2期以上続く場合になります。

簡易課税制度をやめる場合も、
やめようとする事業年度の開始の日の前日までに届出書を提出する必要があります。

事業内容が大幅に変わる場合や、固定資産の購入などの予定がある場合は、特に慎重な判断が必要です。

この簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が、5,000万円を超える事業年度では適用されません。
簡易課税制度の届出書を提出していても、原則による方法になります。

まとめ

上記でみてきたように、簡易課税制度の判断は難しい面もあります。
しかし、小規模の事業者でも計算方法によって納付する消費税の額が、数十万円以上も変わることがあります。
それが毎年続くとしたら、簡易課税制度を利用しない手はありません。

消費税を納めなければいけなくなることは、1年前にはわかりますので、分かった時点で、
原則による方法と簡易課税制度による方法のどちらが有利なのか、検討するようにしましょう。

2年先の予測をしますので、必ずしも計算通りにいくとは限りません。
しっかり予測をして、その結果として失敗したならば、それは仕方ありません。

しかし、検討もせずに不利な方法で計算することは避けなければいけません。

そのためにも、事前に検討しなくてはいけないということだけは、忘れないようにしましょう。

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