個人事業を営んでいて、順調に売上や利益が増えてくると法人成りを考えることも多いでしょう。

そこで、法人成り(会社設立)のメリット、デメリットをまとめてみました。

会社設立のメリット

1.信用力が増し、人も雇いやすくなり、事業の拡大に役立つ

一般的に個人事業よりも、会社の方が信用力が増します。

法人成りして、事業を拡大しようとすると、設備投資資金や運転資金が必要になります。会社の方が、金融機関から融資を受けやすくなります。

取引先に対しての信用力も会社の方が高くなります。特に、大きな会社と取引する際は影響が大きくなります。そもそも、個人事業では取引してくれないということもあります。

従業員を雇う際も、会社の方が雇いやすいです。会社と個人事業主が同じ条件で従業員を募集していた場合、会社で働こうと思う人のほうが多いでしょう。

2.節税効果がある

個人事業主で利益が多く出ている場合は、法人成りすることで、以下のような節税効果があります。

①税率の差による節税効果がある

所得税は、所得が高ければ高いほど税率が高くなり、最高税率は45%にもなります。住民税と合わせると約55%です。

対して、会社の場合の法人税等の税率は所得が800万円以下の場合は約25%程度、800万円を超える部分でも35%程度です(中小法人の場合)。

②給与所得控除分だけ、二重に控除できる

会社になると、社長は会社から役員報酬をもらいます。会社は役員報酬が全額経費になります。

社長の所得税を計算するうえでは、もらった役員報酬から一定の給与所得控除額を控除します。この給与所得控除分が二重に控除できるので、節税になります。

②配偶者やその他の親族に支払った給与が経費になる

会社では、配偶者や親族が会社で働いている場合、支払った給与を経費にすることが出来ます。個人事業主が生計を一にする親族に支払った給与の場合は、一定の制約があります。

配偶者やその他の生計を一にする親族に103万円以下で給与を支払った場合でも、会社では配偶者控除や扶養控除の対象になります。個人事業主の場合は、配偶者控除や扶養控除の対象にならなくなります。

③個人事業主で消費税を納付していた場合、場合によっては2期目まで消費税が免税になる

消費税の課税事業者になるかどうかは、2期前の売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断します。設立1期目、2期目については、2期前がないので、原則として消費税の免税事業者になります。

免税事業者になるためには、資本金を1,000万円未満で会社を設立する必要があります。場合によっては、2期目が消費税の課税事業者になることもあります。

④退職金を支払うことができる

個人事業主は、自分に退職金を支払うことが出来ませんが、会社だと退職金を支払うことができます。

⑤会社のほうが計上できる経費の範囲が広くなる

会社設立のデメリット

1.会社を設立するためにコストや手間がかかる

会社を設立するためには、25万円から30万円のコストがかかります。また、会社をやめるときも、会社清算手続きの手間やコストがかかります。

2.経理や事務処理が大変になり、専門家に支払うコストもかかる

経理処理や事務処理が、個人事業主よりも大変になります。また、個人事業主だと自分で確定申告をすることも可能ですが、会社の場合は提出する書類も多くなり、自分で確定申告することは難しくなります。

コストはかかりますが、税理士に依頼したほうがいいでしょう。

3.本店移転や、代表者の住所変更などの登記手続きが必要

会社の場合は、役員の変更、本店移転、代表者の住所変更、目的の変更、商号の変更、増資など登記事項に変更があった場合は、登記が必要になります。登記には手間やコストがかかります。

個人事業主の場合は、特に登記は必要ありません。

4.社会保険に加入しなければいけない

会社の場合は、社会保険に必ず加入しなければいけません。会社負担分の社会保険料も発生しますので、負担が大きくなります。特に従業員を雇う場合は、負担が大きくなります。

5.赤字でも最低年7万円の税金が発生する

個人事業主は赤字だと所得税、住民税は発生しませんが、会社の場合は、赤字でも最低年7万円の均等割という地方税が発生します。

まとめ

上記のメリットととデメリットを比較して、メリットの大きい方を選択をすることも一つの方法です。

また、会社としてどんどん大きくしていきたいと思うようであれば、迷わずに会社設立をすることも考えられます。

ご自身の事情で何を重視するかを考えて慎重な判断をするようにしましょう。

当事務所では、法人成りしたほうがいいかどうかなどの税務相談も受け付けていますので、ご検討してみてください。